松山絹子

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神奈川県

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  • 【読書感想】下巻【?】

    上巻の感想で訂正。
    若林・正木を教授と書いてしまったが、先生や博士のが適切でした。まあ若林さんの肩書き法医学教授医学部長なんですがね。



    そういえば、夕刊ベスト8で美男美女が多そうな都道府県の話題が出た際にゲストの方が
    「熊本は10人中8人は高良健吾が歩いている」と豪語。
    レベル高ぇぇえええええええええええぇ。

    何でこの話かと言うと上巻で主人公の容姿について書かれた文の前半を読んでいた時に高良さんを色白で華奢にしたイメージしていましたが、後半では少し違うのかなという感想になっていた。
    その後、下巻で想像以上の所迄国境や人種を飛び越えて過去と時空の旅に無慈悲に放り出されてもぅ何が何だか分からなくなった。

    記憶なくした主人公は本当に皆が言っている人と同一人物なのか
    別人なのでは?本人なのに脳では別だと別人であって欲しい感情が作用して錯覚しているのか?




    なるべくネタバレしない程度に上手くのらりくらりな感想文にしようと試みましたが、小説を理解してないと間違った方向にいきそうで、コイツ本当に読んだのかと疑われないか少し気になる。そういや暗夜行路も読んだ筈なのに主人公の嫁が浮気した記憶が片隅にもありませんでした。

    上巻感想時の自分のフランク…いや軽はずみな発言やまだこの世界が自分の創造以上に凄まじくエキセントリックなものだと知らず、こんな浅ましい文字の羅列に自分の学のなさを感じつつ反省。



    まず二転三転、いや実際はこの上なくシンプルで自分が掘り下げの限界値はここだと予測していた以上に深かった。大方、記憶の旅や時空の回送はわざわざ他国の皇帝の時代まで繰り下げなくともお寺に奉納したまででも要素としては十分だが(いやソレだと何故殺した後に写生するんだという疑問が残るのだが)、

    てっきり始まりは先程書いたお寺の話に関わる、この古典的物語【】がはじまりかと思いきや…違う。読むのに苦労した。割と仏教用語は得意な方ですがそれでも補えないくらい古文漢文苦手なもので…。
    【虹汀さん、主人公の血筋である女性に出会う→呪いと巻物の存在をしる→燃やして(全部ではない)断ち切り、寺のご本尊のご胎内に入れる(胎内にある巻物=胎児?にもかけている?)。ちなみにこの地域は許嫁宅近所→持ち出され主人公に手に渡り犯行。】

    実はもっと古くからで楊貴妃の時代の中国で皇帝様に使えていた若き絵師が主人公の先祖。彼が複数の死体をモデルにしてまで執念で描き続けた巻物がそもそものはじまり。

    この中国話が出るまでは母親の寝顔や許嫁さんから、胎児の記憶から呼び覚まされる共通点から猟奇的残虐行為への覚醒は寝姿(睡眠等)がポイントで衝動が高まりスイッチが入り犯行する、つまりエディプスコンプレックス的なものや傾国の美女的な要素が隠されていると思いきや…まさかの古代中国。
    で、これ見事に私の予測と反対で主人公が童貞なのがミソ。性犯罪じゃないのが主人公の心理遺伝を刺激され夢中遊行に誘発され犯行をおこした証明に繋がる。
    絵師はただ女性の死体が見たい殺したいが目的であり更にソレを腐乱美人像の絵にすることで死を芸術に昇華し高揚する。
    その快楽で腐乱死体画に対する執着は芸術家の作品に対する強い想いや変態性、皇帝に認められたい名誉欲からくる複雑な感情から生ずる愛国忠誠心からくるもの。その変質深刻下等奇行をもつのが主人公もといその一族…。


    主人公の解放治療で地面掘りまくってた時に魚の骨を人骨といったり水晶の管等の流れもココに繋がり(主人公が治療中に長文書くんだけど、それの伏線にもかかっている)、さらに上巻の病室で寝ている許嫁さんの言動はこの中国時代から続くものと伏線が何千年物と遥かなる距離や時間をこえたスペクタクル作品。


    主人公は過去の事件の際に証言をしていて、その資料を読んでいた…、、。自分の過去について話す当時18才の主人公は上巻の二十歳の記憶なくした喪失観漂う青年ではなく初々しく、子どもらしく健気に感じた。九大に入学した秀才にはみえなかった。話し方からして子どもなりに賢い子という印象。

    母親は占い信じるわ主人公の行動制限するわ、この九州が今でいうKawa saki 国のような扱いでk察もモヤモヤする…いや、これ現在のk国の預言か預言なのか。サツがあてにならないところも酷似している。常雇農夫に取り調べ行かないわ重要参考物である巻物は若林側に渡ってる。

    農夫との石切場のエピソードで主人公は私の中で美少年認定できた。

    記憶を思いだそうと若林博士と正木博士と元図書室元標本室で話している主人公は妙にミステリアスな賢さと色気があった。多分、討論や理論だてて話し合いできるタイプ。ただ、最期で分かる新たな展開時の会話(※(Y))では18の少年の口調だった気がした。甘えてただけだったのかもしれないが…。

    てっきり主人公メインで解決するコナン君的なものだと思っていた。事件を解決し、その延長線で黒服に辿り着いて元の姿(工藤新一)になる…と。
    むしろ事件に関して執着しているのは両教授。教授らは自らの専門分野、研究の立証の方位から正当性と事件の真相と真犯人を探している。はじめちゃんと明智か、しかし高遠成分が入っている。何故こんな時に剣持のオッちゃんも桑原さんもアジラダ大佐も近藤さんもいないのだ。男前ポジションのキャラがいない…だから救いようがないというか、一応最期は主人公が謎解きっぽいのしていたけど一筋の明るい光を感じないまま私は本を読みおえてしまったのか、せつない。


    実は生きてました!
    お父さん!
    までは、まぁ許せる。しかし双子?辺りからもう頭がパンク。
    ここら辺(正木がきゃっつを多用して話す辺り。アレが呪文のような、何かの合図にも映ってしまう何だこの一種の神聖さ)前後はとても引き込まれながら読んでいた。

    結構前から閉鎖理由がよく掴めないまま、物語は進んでいくモヤモヤしていた。
    主人公が事故?にあいそうなシーンがあまりにも唐突すぎて脳裏に火サスで犯人崖に追い詰めたシーンが浮かんだ。そこまでボロボロになりながら敷地外を走り回るのか…。

    主人公が再び部屋に戻ったのに巻物の事を忘れて風呂敷確かめて
    ……あああああああぁぁあああ!!!
    私の喉の中にあった見えないモノが詰まってイガイガしたわだかまりが解消されると同時に心臓がひっくり返しそうなくらいの衝撃。
    最悪なことに舞台は風呂場。もし老人なら激しい動悸で倒れていたと思う。それまでは加害者を捜し、憎悪しまくっていたがもうそんな気力もないくらい圧倒的なものの前にひれ伏した。

    読解力の無さが生み出した疑問では、MとWが同一である理由と主人公の中で若林博士は知らないで騙された側なのか。確定したとしても半年前までは若林が優勢状態にあったという事自体が正木の話したウソなのか。応接室のお父さんはミスリードだったのか?理論上主人公が正木博士を信用するの仕方ないが、私はどうも胡散臭いし一番信じちゃいけない人種に見えてしまう。あと醜男設定は好青年の若林博士との対比なのかな。主人公謎の頭痛や若林博士の結核に伏線が物語上で重点になっていた。アイテムの使い方も繋がってて凄い!!薄っぺらい私では一度読んだだけでは理解できない。
    事件を解明するためになのか似た(同じ?)シーンや動作が繰り返すので読む人によっては茶番かよと思えてくるかも、何回奥歯ガタガタいって椅子から転げおち鳥肌たって汗かいたんだと。小使がまたお茶持ってきたシーンは好き。時間が戻ったのかパラレルなのかループなのか時間や空間の不確かさや摩訶不思議さが際立っている。
    裏を返せば一つ一つトリックが丁寧に紐解くので、内容を理解したかは別にして普段小説を読まない上に推理小説など読んだ事ない自分にとっては途中で見失うことなく読めていけたので良かった。



    主人公が改めて慎重に巻物を見てシークレットメッセージ読む前までは、残りわずかで薄くなった未読ページを眺めながら読み終わりたくないと思っていた。
    しかし謎の正義感なのか(別に奴が発見してもいいじゃないかと思う私は薄情なのか)主人公が戻って風呂敷見た時は…心臓バクンバクンでそんな名残惜しさを一喝された。その緊張感は笑うセールスマンでドンッ!された人になった気分。多分もっと悲劇的要素が怒濤のように攻めこんでいたら打ち込まれたら壊滅状態まで陥っていたら…何かの拍子に私も狂人暗黒時代に突入していたかもしれない。






    ・現在の状態である自我亡失の自分を(a)とする。

    ・自分が何者かと事件の真相を明らかにするため思い出す、またはその記憶をもっていたであろう二十歳の主人公の二十年間、また思い出した自分である時間と状態を、一連をまとめて(b)とする。

    aからbを目指し物語が進む。a状態からbになるためbやbの記憶や資料等を通じてbを目指す。

    aはbの状態を目指し、事件の資料等を読む→正木博士が登場(c)。更に詳しい説明等をうける→aがbを思いだそうとしても中々思い出せず、再び部屋に戻り風呂敷のくだりで新たな事実に直面する。

    ・実はaとbの間で主人公はラストに判明した事件をおこしていた。新たな事件を(Y)。

    ・主人公自体は夢遊状態と離魂病にあったと気づく。正木→風呂敷のくだりも(c)とする。

    aからbではなく、新たにYという存在が発覚する。
    主人公は自分がa→c間を繰り返していた事に気づく。
    つまり、以前におきたcを主人公は再び再現していた。cはbよりも新しい記憶にあたりリアルタイムではなかったのだ。

    時系列としてはa→Y→c→b(新→古)で、
    主人公はミスリードのまま、bの状態に戻らず実はYの事件があった事実に気づく。

    Yがおきた後、主人公は今回の自分を思い出して事件を解明する一連の事をしていてcが発生した(ここが小説では書かれていなくラストでわかる)。
    そして再びaに陥って(aの状態に戻り)、今回のつまり小説に書かれた事がおきる。


    a→b→c→自分思い出せない→Yの存在を知る→cは以前の記憶で今じゃなかった→病室に戻る、パタッ…自分は胎内にいる胎児でどんどん過去に遡っていく?。(無限ループ?)



    てか巻物どうするんだ!?事件解決できてない!?
    伏線きちんと回収できてるのに何故事件解決できないんだ。主人公が肝心の記憶思い出せなかったからか、はなから作者は事件解決して犯人見つけて主人公らを解放する気なかったのだろうか。

    巻物見せたのやっぱりかい!?あいつ好き勝手したあげく若林に押し付けたのに若林博士を黒幕最悪扱いも何だかなあ…。そもそも、この話が主人公が解放治療中に書いた大作ドグラ・マグラで現実ではただの政治狂や舞踏狂と患者と同じの精神科に入院している治療中の一人なのか。
    それとも頭の良い犯人が自らを正当化し無罪を勝ち取るために書き上げたものなのか。もっと言えばそもそも、私が主人公ではなく別人なのかと身も蓋もないことを考える始末。
    確か精神の病で被害妄想の症状が出るものもあるらしいので単に主人公がそう思ってるだけで(その割には巻物とか話デキすぎているが…)、本当はただの殺人狂でしたとも、自称許嫁も集団催眠や集団ヒステリーで奇行しているにもとれないでもない。

    若林博士が許嫁そのままにして抹消したのも不思議だけど(治療と称して実験を行うため、はじめから回復も退院させるつもりもなかったから?)、一番好き勝手して主人公周辺を悲劇的にしたのも正木博士だし、いまさらシークレットメッセージ読んだくらいでどうにかなるほど良心的にも常識があるとも思えない。


    話かわるが、シンジの親父ってそこまで非道じゃないんじゃない?かと思えてくる不思議。
    家族は他人であり希薄でも仕方ない。


    少なくともラストで発覚した事件時には主人公は正木と自分の関係分かっていたのか…。石切場で分かっていたのか、それとも…

    主人公は残虐行為するターゲットが美女か若いかでしぼってたみたいだけど、でもこれ美男美女設定必要なのかな。

    事件解決してないし、当初の目的である退院もできてない。
    ただこのような理論構造がある呪い。それが圧倒的すぎて立ち向かえず繰り返される、更にそれに魅了された現在の人間の欲により悲劇に巻き込まれた二重の欲望のもと被害者でもあり加害者でもある主人公。
    事件が解決した後ににおこるであろう幸や不幸はいい。
    この手の終り方は壮大なスケールやら余韻があり素敵だが、実際に直面すると腹がたつ。

    Yで、シノさんを救うべく精神の疾患をもった他の患者さんの勇気ある行動は胸を打たれた。

    藤太さんのアメリカ放浪設定がハイカラすぎるっ!!
    あと主人公が解放治療中に書いた大作のこともっと知りたかった!まぁそれがドグラ・マグラなんですけどね(笑)。あれ途中で読むの辞めなかったら、このループから外れたられたのだろうか?。

    最期に自分が何者かも分からない前に、自分は日本人だと主張して事件を解こうとした主人公の勇姿は最近右寄りになったと言われる時代を生きる小市民の胸に響いた。
    胎児の夢とか呪いよりも、生きている人間のがよっぽど恐い。

    とりあえず一回読んだだけでは感想文などこのレベル。

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