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クリエイターと著作権 文:弁護士 益山直樹

第四回 「著作者と著作権者」(1)

 「著作者」とは、「著作物を創作する者」とされています。そこで例えば、オリジナルイラストを描けばそれを描いた人が、エッセイを書けばそれを書いた人が、それぞれ著作者となるのが原則です。そして著作者であれば、原則として著作権者となります。著作権者であれば、著作物であるその作品について利用を独占でき、その著作物を利用したい人は著作権者から許諾を得るなどしなければなりません。今回は、その「著作者」についてご説明していきます。

「著作者」とは

 著作者=「著作物を創作する者」とは、著作物である作品について、その人の思想又は感情を創作的に表現する活動をした者をいう、とされています。作品を発注・依頼すること、作品のアイデアを提供することなどは、「表現する活動」ではないので、作品の発注者やアイデアを出したにとどまる人は、「著作者」とはなりません。

被用者が職務上創作した場合(職務著作)

 実際に創作活動をした人であっても、「著作者」とならない場合があります。「職務著作」と言われるものがそれです。例えば、出版社に勤務するライターが、その会社が発行する雑誌に掲載するために取材して書いた記事は「言語の著作物」に、撮った写真は「写真の著作物」になります。誌面に掲載するためのイラストも自分で描いた場合、そのイラストは「美術の著作物」となるでしょう。では、このような記事や写真、イラストの著作者は、そのライターだということになるのでしょうか。以下に説明していきます。

 著作権法は、著作物を実際に創作したのが個人であっても、
01法人その他使用者(法人等)の発意に基づき、
02その法人等の業務に従事する者が、
03職務上作成するものであって、
04その法人等が自己の著作の名義で公表するものである場合、
05その作成当時の契約や勤務規則等に別段の定めのない限り、
その法人等が著作者となる、としています。それが「職務著作」です。「法人著作」とも呼ばれますが、会社などの法人でない事業主の場合でも、これら01から04に該当すれば、05に当たる事情がない限り、その著作物の著作者はその事業主となるということです。

職務著作とは

 以下、01から05まで順番に説明していきます。

01
法人その他使用者(法人等)の発意に基づき、法人等の発意に基づくというのは、その著作物を作成するという意思がその法人等の目的や直接的又は間接的な判断にかかっている場合をいいます。新聞社や雑誌社に所属する記者が、誌面に掲載する写真を撮って記事を書くのは、その会社の意思に基づくと考えられるので、これに当たります。もっとも、この「法人等の発意」という要件は、後に説明する03の「職務上作成」と重なるのが通常です。
02
その法人等の業務に従事する者が、「その法人等の業務に従事する者」とは、会社等との雇用関係に基づいて働いている人が典型です。もっともこれは、雇用関係がある場合に限られません。この点についてある裁判例は、「法人と雇用関係にある者ばかりでなく、法人と被用者との間に著作物の作成に関する指揮命令関係があり、法人に当該著作権全体を原始的に帰属させることを当然の前提にしているような関係にある場合」も含むとしています。
ですから出版社等の注文主が、従業員ではなくフリーのライターやフォトグラファーに記事の執筆や写真の撮影を依頼している場合でも、具体的事情次第では、その記事や写真の著作者が依頼者であるその注文主になる場合もありえます。著作者と著作権者は一致するのが原則ですから、そのような場合、当該作品の著作権もその注文主が持つこととなります。
そこで、紛争防止の観点から、フリーのイラストレーターやデザイナー、ライター、フォトグラファー等の方々は、注文を受ける際に、その作品の著作者は誰か、著作権は誰が持つのか、契約上明らかにしておくことが望ましいでしょう。
03
職務上作成するものであって、職務上作成するとは、自己に与えられた仕事として著作物を作成するということです。例えば、出版社等に勤務するライターが、その発行する雑誌の企画に基づいて記事を執筆した場合のその記事は、職務上作成されたものとなるでしょう。なお当然のことですが、法人等の従業員であっても、その法人等の職務とは関係なく個人として創作した著作物については、その人が著作者となります。
04
その法人等が自己の著作の名義で公表するものである場合、その法人等が自己の著作の名義で公表するものである場合とは、雑誌の例でいえば、社内ライターが書いた署名のない記事などが典型でしょう。なお、これには現に公表されたものだけでなく、未公表でも法人等名義での公表が予定されているものや、仮に公表するとすれば法人等の名義でなされるべきものも含まれます。
05
その作成当時の契約や勤務規則等に別段の定めのない限り、職務上作成される著作物でも、その著作物の作成当時、法人等とその法人の業務に従事する者との間で、その者を著作者とする定めが就業規則や契約等にあれば、01から04に該当する場合でも、その者が著作者ということになります。

プログラムの著作物が職務著作とされる場合について

 なお、プログラムの著作物が職務著作とされる場合については著作権法に別の定めがあり、その法人等が自己の著作の名義で公表するものである必要はありません。これは、プログラムの著作物は、法人等の従業員が職務として作成する場合が大半と考えられ、公表を予定していないものも多く、仮に公表されても、著作名義が記載されないこともあることなどが理由です。

 以上、今回は著作物を創作した者(著作者)がその著作物の著作権を持つのが原則であること、その重要な例外として法人等が著作者・著作権者になる場合(職務著作)についてご説明してきました。読者の皆さんの中には、会社等で働きつつ、個人で創作活動をされている方もおられると思いますので、参考になれば幸いです。次回は、一つの著作物に複数の著作者・著作権者がいる場合(共同著作物)と、これに関連して集合著作物・結合著作物についてご説明し、さらに他の著作物と比べて特殊性の強い映画の著作物の著作者・著作権者についてご説明していきたいと考えています。

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