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サウンド・音楽 > サウンドアート
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Comment 「不思議な夢」
—————彼女は笑っていた。
夢の中にいることは、気づいていた。
彼女は数年前に亡くなったのだ。
生前、僕の友人である彼女は、こんなふうによく笑っていた。
しかし、この子は気付いているのだろうか・・・。
いや、よそう、夢の中に現実をもちだすのは、つまらない・・・。
「これから、カラオケでもどう?」
夢の中にもカラオケ屋はきっとある。無けりゃ作る・・・。
「えーっ、昼まっからー?」彼女の口がとがる。
今は昼間か・・・。知らなかった。
「カラオケは昼にやるもんだよ。ランカラってやつ。」ここで弱気になってはいけない。なんせここは夢の中なんだ。
「ランカラ?やってみたーい!」
この子は新しい単語には、ことに興味を示す。作戦は成功だ。
カラオケ屋へ数歩足を進めた時、彼女のため息がもれた。
「ああ——っ、時間だ—。残念。」
なぜだか僕は納得してしまった。
「そっか—、残念だね—。」
彼女は、申しわけなさげに目を細めながら「じゃ、そゆことで・・・。」
そういうと、視界が徐々に狭くなっていった。
「うん、またね・・・。」
夢落ち。目がさめて、朝日を浴び、すがすがしい風がカーテンをゆらす。
この続きは何年か先になるのかな・・・。友達の多い人だから。
「不思議な夢」終
不思議な夢
by ま ぜんた
「不思議な夢」
—————彼女は笑っていた。
夢の中にいることは、気づいていた。
彼女は数年前に亡くなったのだ。
生前、僕の友人である彼女は、こんなふうによく笑っていた。
しかし、この子は気付いているのだろうか・・・。
いや、よそう、夢の中に現実をもちだすのは、つまらない・・・。
「これから、カラオケでもどう?」
夢の中にもカラオケ屋はきっとある。無けりゃ作る・・・。
「えーっ、昼まっからー?」彼女の口がとがる。
今は昼間か・・・。知らなかった。
「カラオケは昼にやるもんだよ。ランカラってやつ。」ここで弱気になってはいけない。なんせここは夢の中なんだ。
「ランカラ?やってみたーい!」
この子は新しい単語には、ことに興味を示す。作戦は成功だ。
カラオケ屋へ数歩足を進めた時、彼女のため息がもれた。
「ああ——っ、時間だ—。残念。」
なぜだか僕は納得してしまった。
「そっか—、残念だね—。」
彼女は、申しわけなさげに目を細めながら「じゃ、そゆことで・・・。」
そういうと、視界が徐々に狭くなっていった。
「うん、またね・・・。」
夢落ち。目がさめて、朝日を浴び、すがすがしい風がカーテンをゆらす。
この続きは何年か先になるのかな・・・。友達の多い人だから。
「不思議な夢」終
published : 2013/11/23